バナー制作のスケジュール管理と納期の考え方

最初のステップはクライアントや社内担当者とのヒアリングによる要件定義です。ターゲット層、広告の目的、訴求内容、掲載媒体などを明確にすることで、後工程の手戻りを防げます。所要時間は1〜2営業日を見込み、メールやミーティングで必要な情報を揃えましょう。

ヒアリングの情報をもとに、ラフ案（ワイヤーフレーム）を作成します。キャッチコピーやビジュアルの配置を明示し、クライアントの確認を取るフェーズです。デザイン前の方向性確認として重要で、修正依頼が多くなることもあるため、2〜3営業日程度を見込んでおくと安心です。

構成が固まったら、実際のビジュアル制作に入ります。背景画像の選定、フォント、色調整、CTAボタンの設置などを行い、初稿として提出できるレベルまで仕上げます。1〜3日を想定し、工数の変動が大きい工程のひとつです。

初稿に対してクライアントや関係者からの修正依頼に対応する工程です。軽微なテキスト修正から、構成変更レベルのフィードバックまで幅があるため、あらかじめ1〜2日程度のバッファを持っておくとトラブル防止になります。

最終確認後、指定された形式（JPG、PNG、GIF、HTML5など）で納品データを作成します。媒体によってはサイズや容量制限があるため、フォーマット調整や圧縮対応も必要です。納品後の差し戻しにも備え、納期前に1日以上の余裕を持たせましょう。

もっとも多い遅延要因のひとつが、初期段階での情報不足や指示の曖昧さです。訴求ポイントやターゲットの不明確さにより、構成段階での迷走や手戻りが発生します。これを防ぐには、ヒアリングシートを使って必要情報を網羅し、クライアントと共通認識を持つことが重要です。

クライアントからの返信や確認作業の遅れは、全体スケジュールに影響を及ぼします。特に意思決定者が複数いる場合、承認プロセスが長引く傾向にあります。これを防ぐために、確認期限をあらかじめ伝える、チェックリストを添付するなど、迅速な返答を促す工夫が必要です。

初稿に対して過度な修正が発生すると、再スケジューリングが必要になります。特に構成からやり直すような修正は、時間とコストに大きく影響します。これを回避するには、初期の構成段階で方向性を固め、想定外の修正には別途費用や納期の再設定が必要である旨を事前に伝えると効果的です。

担当デザイナーが複数案件を同時進行している場合、作業の優先順位による遅延が起きやすくなります。プロジェクト開始前にスケジュールを調整し、他案件とのリソース配分を可視化することが、安定した進行に繋がります。チームでの共有ツールの活用も有効です。

ソフトの不具合、ファイル破損、ネットワーク障害など、予期せぬ技術トラブルも考慮に入れるべきリスクです。作業データの定期バックアップや、クラウドストレージの活用によって、トラブル時の復旧スピードを確保する体制を整えておきましょう。